キャンプの楽しみの中でも、特に人気が高いのがアウトドア料理、通称「キャンプ飯」です。自然の中で作り、食べる料理は、家で食べる同じメニューでも格別に美味しく感じられます。焚き火の煙の香り、新鮮な空気、仲間との語らい、すべてが最高のスパイスとなって、料理を一層引き立ててくれるのです。
アウトドア料理と聞くと、難しそう、道具が必要そう、というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、シンプルな調理法でも驚くほど美味しい料理が作れます。限られた道具と食材だからこそ、素材の味を活かした料理や、創意工夫を凝らしたレシピが生まれるのです。
本記事では、初心者でも簡単に作れるものから、ちょっと本格的なものまで、厳選した10のレシピを詳しく紹介します。朝食、昼食、夕食、おつまみ、デザートまで、幅広くカバーしているので、このレシピ集があれば、キャンプでの食事に困ることはありません。材料の準備方法から調理のコツ、失敗しないポイントまで、丁寧に解説していきます。
キャンプ飯をマスターすれば、キャンプの楽しみが倍増します。家族や友人に「美味しい!」と言ってもらえる喜びは格別です。さあ、アウトドア料理の世界へ飛び込んで、キャンプ飯の達人を目指しましょう。
レシピ1:究極のホットサンド
ホットサンドはキャンプの朝食に最適なメニューです。ホットサンドメーカーさえあれば、簡単に作れて、バリエーションも無限大です。
**必要な材料(1人分)**は、食パン2枚、好きな具材(ハム、チーズ、トマト、レタス、卵など)、バターまたはマヨネーズです。具材は前日の夜に準備しておくと、朝の調理がスムーズです。食パンは8枚切りか10枚切りが、ホットサンドメーカーに収まりやすくおすすめです。
作り方の手順を説明します。まず、ホットサンドメーカーの内側にバターを薄く塗ります。こうすることで、パンがくっつかず、きれいに焼き上がります。食パン1枚を置き、好きな具材を重ねていきます。このとき、具材は中央に集めて、端には少しスペースを残すのがコツです。端まで具材を詰めすぎると、閉じたときにはみ出してしまいます。
具材を乗せたら、もう1枚の食パンで蓋をします。ホットサンドメーカーを閉じて、しっかりとロックします。弱火から中火で両面を3〜4分ずつ焼きます。時々開けて焼き色を確認しましょう。きつね色になったら完成です。焼きすぎると焦げるので注意が必要です。
おすすめの具材の組み合わせをいくつか紹介します。定番は「ハム・チーズ・トマト」で、これにバジルを加えるとイタリアン風になります。「ツナマヨ・チーズ・玉ねぎ」は子どもにも大人気です。「ベーコン・目玉焼き・レタス」はボリューム満点の朝食になります。甘い系なら「バナナ・チョコレート・マシュマロ」も絶品です。
成功のポイントは、具材の水分量に注意することです。トマトなど水分の多い野菜は、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから使います。また、チーズは具材の一番上に置くと、溶けて他の具材をまとめる接着剤の役割を果たします。火加減は弱めから始めて、様子を見ながら調整するのが失敗しないコツです。
応用編として、前日の残り物を活用することもできます。カレーやシチュー、焼きそばなども、ホットサンドの具材になります。意外な組み合わせが新しい美味しさを生み出すこともあるので、自由に実験してみましょう。ホットサンドメーカーがない場合は、フライパンでも作れます。重しを乗せて両面を焼けば、同様の仕上がりになります。

レシピ2:ダッチオーブンで作る無水カレー
ダッチオーブンを使った無水カレーは、キャンプ料理の定番中の定番です。材料を入れて火にかけるだけで、驚くほど美味しいカレーが完成します。
**必要な材料(4〜5人分)**は、鶏もも肉400g、玉ねぎ2個、にんじん1本、じゃがいも3個、トマト2個、カレールー1箱、にんにく2片、しょうが1片、サラダ油大さじ2、塩コショウ適量です。野菜は事前にカットして、ジップロックに入れて持参すると現地での手間が省けます。
下準備のコツとして、肉は一口大に切り、塩コショウで下味をつけておきます。にんにくとしょうがはみじん切りにします。玉ねぎはくし切り、にんじんとじゃがいもは乱切り、トマトはざく切りにします。トマトは水分が多いので、無水カレーの水分源として重要な役割を果たします。
調理手順を説明します。ダッチオーブンを火にかけ、サラダ油を熱します。にんにくとしょうがを炒めて香りを出したら、鶏肉を入れて表面に焼き色をつけます。焼き色がついたら、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの順に加えて軽く炒めます。最後にトマトを入れて、全体を混ぜ合わせます。
ここがポイントですが、水は一切加えません。野菜から出る水分だけで調理するのが無水カレーの特徴です。蓋をして、弱火から中火で30〜40分煮込みます。途中、10分おきくらいに蓋を開けて、底から混ぜます。焦げ付きが心配な場合は、弱火でじっくり調理しましょう。
野菜が柔らかくなったら、いったん火を止めてカレールーを割り入れます。ルーが溶けるまでよく混ぜたら、再び弱火で10分ほど煮込みます。とろみがついたら完成です。味見をして、必要なら塩で調整します。ご飯は別途炊いておくか、レトルトご飯を温めて添えます。
成功のポイントは、火加減の調整です。強火にすると焦げやすいので、弱火でじっくりが基本です。また、ダッチオーブンは蓋も重いため、中の水分が逃げにくく、無水調理に最適です。上火(蓋の上に炭を置く)を使うと、さらに均一に加熱できます。トマトの代わりにトマト缶を使っても美味しく作れます。
アレンジ方法として、ココナッツミルクを加えてタイカレー風にしたり、バターとヨーグルトを加えてバターチキンカレーにしたりもできます。具材も、シーフードミックス、豚肉、ソーセージなど、好みでアレンジ可能です。キャンプ場で採れた野菜を加えるのも楽しいでしょう。
レシピ3:スキレットで作る絶品アヒージョ
アヒージョはオリーブオイルとにんにくで具材を煮込むスペイン料理で、キャンプでも大人気のメニューです。見た目もおしゃれで、お酒のつまみに最高です。
**必要な材料(2〜3人分)**は、オリーブオイル150ml、にんにく3〜4片、鷹の爪1本、塩小さじ1、好きな具材(エビ、マッシュルーム、ブロッコリー、ミニトマト、タコ、アンチョビなど)、バゲットです。具材は何を入れても美味しくできるのがアヒージョの魅力です。
下準備として、にんにくは薄切りにします。エビは背ワタを取り、殻付きのままでも剥いてもOKです。殻付きの方が香りが良く出ます。マッシュルームは石づきを取って半分に切ります。ブロッコリーは小房に分けて軽く茹でておきます。ミニトマトはヘタを取ります。タコは一口大に切ります。
調理方法は驚くほど簡単です。スキレットにオリーブオイルを入れ、にんにくのスライスと鷹の爪を加えます。弱火にかけて、じっくりとにんにくの香りをオイルに移していきます。にんにくがきつね色になってきたら、具材を加えます。硬い具材から順に入れていくのがコツです。
塩で味を調えたら、弱火のまま10分ほど煮込みます。具材に火が通り、オイルがグツグツと煮立ってきたら完成です。火から下ろして、そのままテーブルに出します。スキレットが熱いので、鍋敷きや木の板の上に置きましょう。バゲットをちぎって、オイルに浸しながら食べるのが最高です。
成功のポイントは、火加減を弱火に保つことです。強火にするとにんにくが焦げて苦くなってしまいます。また、オリーブオイルはケチらず、たっぷり使うのが美味しさの秘訣です。具材が浸るくらいのオイルを使いましょう。残ったオイルはパスタに使ったり、翌日の炒め物に使ったりできます。
おすすめの具材の組み合わせをいくつか紹介します。「エビ・マッシュルーム・ブロッコリー」は定番で間違いない美味しさです。「タコ・ミニトマト・ブラックオリーブ」は地中海風でワインによく合います。「牡蠣・マッシュルーム・アンチョビ」は大人の味わいです。「鶏肉・パプリカ・アスパラ」はボリューム満点です。
アレンジのアイデアとして、具材を食べ終わった後のオイルに、パスタを加えて絡めるのもおすすめです。にんにくとオイルの旨味が染み込んだパスタは絶品です。また、翌朝、残ったオイルで目玉焼きを作ると、これまた美味しいです。アヒージョのオイルは捨てずに最後まで活用しましょう。
レシピ4:メスティンで作る簡単炊き込みご飯
メスティンは万能調理器具で、炊き込みご飯も簡単に作れます。自動炊飯なので、放置しておくだけでOKです。
**必要な材料(1〜2人分)**は、米1合、水200ml、めんつゆ(3倍濃縮)大さじ2、鶏もも肉100g、しめじ50g、にんじん30g、油揚げ1枚です。具材は好みでアレンジ可能で、ツナ缶やサバ缶を使っても美味しく作れます。米は無洗米を使えば、現地での準備が楽になります。
下準備として、米を研いで30分ほど水に浸けておきます。無洗米なら研ぐ必要はありません。鶏肉は小さめの一口大に切ります。しめじは石づきを取ってほぐします。にんじんは千切り、油揚げは短冊切りにします。めんつゆと水を混ぜて、調味液を作っておきます。
調理手順を説明します。メスティンに水気を切った米を入れ、調味液を注ぎます。その上に鶏肉、しめじ、にんじん、油揚げを順に乗せます。具材は混ぜずに、上に乗せるだけでOKです。蓋をして、固形燃料に火をつけます。固形燃料が燃え尽きるまで放置します(約20分)。
固形燃料が消えたら、メスティンを逆さにして10〜15分蒸らします。タオルや新聞紙で包むと、保温効果が高まります。蒸らしが終わったら、蓋を開けて全体をよく混ぜます。ふっくらと炊き上がった炊き込みご飯の完成です。
成功のポイントは、水の量を正確に計ることです。メスティンのリベット(取っ手の付け根の丸い部分)の下まで水を入れるのが、1合の目安と言われていますが、計量カップで測る方が確実です。また、蒸らしの時間をしっかり取ることで、芯が残らずふっくら仕上がります。
固形燃料がない場合は、バーナーでも作れます。中火で10分加熱したら、弱火で5分、最後に強火で10秒ほど加熱して水分を飛ばします。その後、同様に蒸らします。炊き上がりの目安は、メスティンから水蒸気が出なくなったときです。
アレンジレシピとして、「サバ缶とショウガの炊き込みご飯」は超簡単で美味しいです。サバの水煮缶を汁ごと入れ、千切りにしたショウガを加えて炊くだけです。「きのこの炊き込みご飯」は、数種類のきのこをたっぷり入れて、醤油とみりんで味付けします。「中華風炊き込みご飯」は、鶏ガラスープの素とごま油を使います。
レシピ5:焚き火で作るローストビーフ
焚き火でじっくり焼いたローストビーフは、キャンプの特別なごちそうです。見た目も豪華で、パーティーにぴったりです。
**必要な材料(4〜5人分)**は、牛もも肉ブロック500g、塩大さじ1、黒こしょう小さじ1、にんにく2片、ローズマリー(あれば)、オリーブオイル大さじ2です。肉は常温に戻してから調理すると、火の通りが均一になります。調味料はシンプルですが、肉の旨味を最大限に引き出せます。
下準備として、牛肉ブロックの表面に塩と黒こしょうをすり込みます。全面にしっかりと塗り込むことで、味が染み込みます。にんにくは薄切りにし、肉の表面に数カ所切り込みを入れて挟み込みます。ローズマリーがあれば、一緒に挟むと香りが良くなります。この状態で30分ほど常温に置いておきます。
焼き方の手順を説明します。まず、スキレットまたはフライパンをよく熱し、オリーブオイルを入れます。牛肉を入れて、全面に焼き色をつけます。各面1〜2分ずつ、強火でしっかりと焼きます。表面を焼き固めることで、肉汁が外に流れ出るのを防ぎます。この工程を「シアリング」と呼びます。
全面に焼き色がついたら、アルミホイルで二重に包みます。このとき、空気が入らないようにしっかりと密閉します。包んだ肉を、焚き火の熾火(おきび)の上に置きます。直火ではなく、炭が赤く燃えている状態の熾火を使うのがポイントです。30分ほど放置して、じっくりと火を通します。
途中、15分経ったら一度ひっくり返します。30分経ったら火から下ろし、アルミホイルに包んだまま20分ほど休ませます。この「休ませる」工程が重要で、肉汁が肉全体に行き渡り、ジューシーに仕上がります。休ませた後、アルミホイルを開けて、薄くスライスして盛り付けます。
成功のポイントは、火加減の調整です。焚き火の熾火は温度が高すぎず低すぎず、ちょうど良い加熱ができます。炎が上がっている状態では焦げてしまうので、必ず熾火の状態で調理します。また、肉を休ませる時間を省略すると、切ったときに肉汁が流れ出てしまうので、必ず休ませましょう。
温度の目安として、中心温度が55〜60度になればミディアムレアの仕上がりです。温度計があれば確認できますが、なければ指で押してみて、適度な弾力があればOKです。生焼けが心配な場合は、少し長めに加熱しても構いませんが、火を通しすぎると硬くなるので注意が必要です。
ソースのアイデアとして、シンプルに粗塩とわさびで食べるのも美味しいです。バルサミコ酢とオリーブオイルを混ぜたソースや、玉ねぎとにんにくをすりおろしたソースもよく合います。市販のステーキソースやポン酢もおすすめです。付け合わせに、焼き野菜やマッシュポテトを添えると、より豪華になります。
レシピ6:串焼き色々
串焼きはキャンプの定番で、準備も簡単、焼くのも楽しい、みんなで楽しめる最高のメニューです。
必要な材料は、好きな具材を串に刺せるだけです。肉類(鶏もも肉、豚バラ肉、牛肉、ソーセージ)、野菜類(ピーマン、玉ねぎ、しいたけ、ズッキーニ、トマト、アスパラガス)、魚介類(エビ、イカ、ホタテ)など、バリエーションは無限大です。串は竹串でも金属串でも構いません。
下準備のコツとして、具材は一口大に切り揃えます。大きさを揃えることで、火の通りが均一になります。前日の夜に具材を切って、ジップロックに入れて冷蔵しておくと、当日の準備が楽です。串に刺す作業は、子どもたちにも手伝ってもらえるため、ファミリーキャンプにもおすすめです。
串への刺し方にもコツがあります。硬い野菜と柔らかい肉を交互に刺すと、見た目も綺麗で、火の通りもバランスよくなります。例えば、「玉ねぎ→鶏肉→ピーマン→鶏肉→玉ねぎ」という具合です。串の先端は具材を刺さず、5cmほど空けておくと、持ちやすく、回転もさせやすくなります。
焼き方のポイントは、遠火でじっくりです。焚き火の強火で焼くと、表面だけ焦げて中が生焼けになってしまいます。熾火の上で、ゆっくりと回転させながら焼きます。串を網の上に置くか、金属串なら直接炭の上に渡して焼くこともできます。焼き色がついて、良い香りがしてきたら完成です。
タレと味付けのバリエーションを紹介します。定番は「塩こしょう」で、シンプルに素材の味を楽しめます。「焼き鳥のタレ」は市販のものでも、醤油・みりん・砂糖を混ぜて作ってもOKです。「味噌ダレ」は味噌・みりん・砂糖を混ぜて作り、特に野菜によく合います。「スパイシーソース」はケチャップ・チリパウダー・にんにくを混ぜて作ります。
おすすめの串の組み合わせをいくつか紹介します。「ねぎま」は鶏もも肉と長ネギの王道コンビです。「豚バラとエリンギ」はボリューム満点で食べ応えがあります。「エビとズッキーニ」は彩りも綺麗でパーティーにぴったりです。「つくね」は鶏ひき肉にネギとショウガを混ぜて丸めて刺します。「野菜だけの串」はベジタリアンの方にも喜ばれます。
失敗しないコツとして、肉は事前に常温に戻しておくことで、火の通りが良くなります。また、串に刺す前に下味をつけておくと、味が染み込んで美味しくなります。焼いている最中に何度もひっくり返すと、肉が串から外れやすくなるため、片面が焼けてから裏返すようにしましょう。
レシピ7:ダッチオーブンで作るローストチキン
ダッチオーブンを使えば、丸鶏を使った本格的なローストチキンがキャンプで作れます。見た目のインパクトも抜群で、特別な日にぴったりです。
**必要な材料(4〜6人分)**は、丸鶏1羽(1.5kg程度)、塩大さじ2、黒こしょう小さじ1、にんにく1個、レモン1個、ローズマリーやタイムなどのハーブ、じゃがいも4個、にんじん2本、玉ねぎ2個、オリーブオイル大さじ3です。丸鶏は事前に予約しておくとスムーズに購入できます。
下準備の手順として、まず丸鶏を洗って水気をしっかり拭き取ります。表面だけでなく、腹の中も忘れずに拭きます。塩と黒こしょうを全体にすり込み、腹の中にも塩を振ります。にんにくは半分に切り、レモンは4等分にカットします。ハーブと一緒に丸鶏の腹に詰め込みます。これで香りづけは完璧です。
野菜は大きめにカットします。じゃがいもは半分か4等分、にんじんは乱切り、玉ねぎは4等分のくし切りにします。野菜にもオリーブオイルと塩こしょうをまぶしておきます。これらの野菜は丸鶏の下に敷くことで、肉汁を吸って非常に美味しくなります。
調理方法を説明します。ダッチオーブンの底に野菜を敷き詰めます。その上に下準備した丸鶏を乗せます。丸鶏の表面にオリーブオイルを塗ると、皮がパリッと焼き上がります。蓋をして、下火と上火で加熱します。下には炭を敷き、蓋の上にも炭を乗せることで、オーブンと同じ効果が得られます。
60〜90分ほど加熱します。30分おきに蓋を開けて、肉汁をスプーンですくって鶏肉にかけます(ベイスティング)。これにより、肉がパサつかず、ジューシーに仕上がります。竹串を刺して、透明な肉汁が出てくれば火が通っています。皮がきつね色になり、良い香りがしてきたら完成です。
成功のポイントは、火加減の管理です。強すぎると焦げてしまい、弱すぎると火が通りません。炭の量は、下火7:上火3くらいの割合が目安です。上火が強すぎると表面だけ焦げるため、注意が必要です。温度計があれば、鶏肉の最も厚い部分が75度以上になっているか確認しましょう。
盛り付けと切り分け方も大切です。丸鶏をダッチオーブンから取り出し、大きな皿に盛り付けます。周りに野菜を添えると、見栄えが良くなります。切り分けるときは、まず脚を関節から外し、次に胸肉を切り分けます。手羽も忘れずに。肉汁がたっぷり染み込んだ野菜も一緒に盛り付けましょう。
アレンジ方法として、ハーブの種類を変えることで風味が変わります。オレガノやバジルを使えばイタリアン風に、クミンやコリアンダーを使えばエスニック風になります。腹に詰めるものをリンゴや玉ねぎに変えても美味しいです。また、鶏肉に切り込みを入れて、バターとハーブを挟み込む「ハーブバター」も絶品です。
レシピ8:焚き火で作る焼きマシュマロとスモア
デザートの定番、焼きマシュマロとスモアは、子どもも大人も大好きなキャンプの楽しみです。作る過程も楽しめます。
必要な材料は、マシュマロ、長めの串または焼きマシュマロ用の棒です。スモアを作る場合は、さらにグラハムクラッカー(またはビスケット)と板チョコレートが必要です。マシュマロは大きめのものがおすすめで、焼きやすく食べ応えもあります。
焼き方の基本を説明します。マシュマロを串に刺します。焚き火の熾火の上、炎から少し離れた位置で、ゆっくりと回転させながら焼きます。焼き加減は好みですが、表面がきつね色になり、中がトロトロに溶けた状態がベストです。炎に近づけすぎると、すぐに燃えて真っ黒になってしまうので注意が必要です。
こんがり焼く派の人は、じっくりと時間をかけて、均一にきつね色に焼き上げます。表面はカリッと、中はトロトロの食感が楽しめます。燃やす派の人は、わざと炎に入れて燃やし、黒い外側を剥がして食べます。これも一つの楽しみ方です。お好みの焼き加減を見つけましょう。
スモアの作り方は簡単です。グラハムクラッカーの上に板チョコレートを置きます。その上に、焼いたマシュマロを串から外して乗せます。マシュマロの熱でチョコレートが溶けます。もう1枚のクラッカーで挟んで、軽く押さえます。これで完成です。サクサクのクラッカー、トロトロのマシュマロ、溶けたチョコレートの組み合わせは絶品です。
アレンジレシピとして、クラッカーの代わりにクッキーを使っても美味しいです。チョコチップクッキーやオレオを使うと、また違った味わいが楽しめます。チョコレートもミルクチョコだけでなく、ビターチョコやホワイトチョコ、ストロベリーチョコなど、バリエーションをつけると楽しいです。
バナナボートも焼きマシュマロの仲間です。バナナの皮の一部を切り取り、中身に切り込みを入れます。その切り込みにチョコレートとマシュマロを挟み込みます。アルミホイルで包んで、焚き火の熾火の上で10分ほど加熱します。開けると、バナナとチョコとマシュマロが溶け合った絶品デザートの完成です。
失敗しないコツは、焦らないことです。マシュマロは焦げやすいため、炎から適度な距離を保ちながら、じっくりと焼きます。子どもが焼く場合は、大人が付き添って、安全に楽しめるようサポートしましょう。串は長めのものを使うと、手が熱くならず安全です。
レシピ9:スキレットで作るパエリア
パエリアはスペインの米料理で、見た目も華やかで、キャンプのメインディッシュにぴったりです。
**必要な材料(3〜4人分)**は、米2合、水400ml、サフラン少々(なければターメリックで代用)、鶏もも肉150g、エビ8尾、イカ1杯、あさり200g、パプリカ1個、玉ねぎ半分、にんにく2片、トマト1個、オリーブオイル大さじ3、塩小さじ1、レモン適量です。具材は好みでアレンジできます。
下準備として、サフランは水に浸けて色を出しておきます。鶏肉は一口大に切り、塩こしょうで下味をつけます。エビは背ワタを取り、殻付きのまま使います。イカは輪切りにします。あさりは砂抜きしておきます。パプリカと玉ねぎはみじん切り、にんにくはみじん切り、トマトはざく切りにします。
調理手順を説明します。スキレットにオリーブオイルを熱し、にんにくを炒めて香りを出します。鶏肉を加えて焼き色をつけたら、玉ねぎとパプリカを加えて炒めます。玉ねぎが透明になったら、トマトを加えてさらに炒めます。
米を加えて、オイルとよく絡めます。米が透明になってきたら、サフラン水と水を加えます。塩で味を調え、エビ、イカ、あさりを上に配置します。蓋をして、中火で15分ほど加熱します。途中で水分が足りなくなったら、少し水を足します。
米が炊き上がったら、蓋を取って強火で1分ほど加熱します。これにより、底におこげができます。火から下ろして5分ほど蒸らします。レモンを搾って、仕上げにパセリを散らせば完成です。スキレットごとテーブルに出して、みんなで取り分けて食べましょう。
成功のポイントは、米をしっかりとオイルでコーティングすることです。こうすることで、パラパラとした仕上がりになります。また、火加減は最初は中火、最後に強火でおこげを作るのがコツです。あさりが開かない場合は、火が通っていないか、死んでいる可能性があるため、無理に食べないようにしましょう。
アレンジ方法として、シーフードだけでなく、ソーセージやチョリソを加えても美味しいです。野菜も、ズッキーニやアスパラガス、グリーンピースなど、好きなものを加えられます。サフランの代わりにカレー粉を使うと、カレー風味のパエリアになります。残ったパエリアは、翌朝おにぎりにしても美味しいです。
レシピ10:ホットケーキミックスで作る簡単おやつ
ホットケーキミックスは万能で、様々なおやつが簡単に作れます。キャンプでのおやつタイムを充実させましょう。
基本のホットケーキから始めます。必要な材料は、ホットケーキミックス200g、卵1個、牛乳150mlです。ボウルに材料を入れてよく混ぜます。スキレットやフライパンを熱し、油を薄く引きます。生地を流し入れて、弱火で焼きます。表面にプツプツと泡が出てきたら、ひっくり返します。両面がきつね色になったら完成です。
ドーナツもホットケーキミックスで作れます。材料は、ホットケーキミックス200g、卵1個、牛乳50ml、砂糖大さじ2です。生地を混ぜて、ドーナツ型に成形します。型がない場合は、手で丸めて、真ん中に穴を開けます。油で揚げるか、多めの油で焼き揚げにします。きつね色になったら取り出し、砂糖やシナモンシュガーをまぶします。
蒸しパンは、シェラカップやマグカップで作れます。ホットケーキミックス50g、牛乳50ml、砂糖大さじ1をカップに入れて混ぜます。好みでココアパウダーやレーズンを加えても良いです。鍋に水を張り、カップを入れて蓋をします。中火で10分ほど蒸せば完成です。竹串を刺して、生地がつかなければOKです。
バウムクーヘンは、キャンプならではのおやつです。ホットケーキミックス200g、卵2個、牛乳100ml、バター50gを混ぜて、ゆるめの生地を作ります。竹や木の棒にアルミホイルを巻き、生地をかけて、焚き火の上でゆっくり回転させながら焼きます。表面が固まったら、また生地をかけて焼く、を繰り返します。層ができて、バウムクーヘン風になります。
アップルシナモンケーキも人気です。りんご1個を薄切りにします。スキレットにバターを溶かし、りんごを敷き詰めます。砂糖とシナモンを振ります。ホットケーキミックス200g、卵1個、牛乳150mlを混ぜた生地を上から流し込みます。蓋をして弱火で20分ほど焼きます。竹串を刺して生地がつかなければ完成です。逆さにして皿に出すと、りんごが上に来て綺麗です。
チョコバナナマフィンもおすすめです。ホットケーキミックス200g、卵1個、牛乳100ml、バナナ1本、チョコチップ50gを混ぜます。バナナはフォークで潰して加えます。マフィンカップに入れるか、アルミカップに入れて、スキレットで蒸し焼きにします。15分ほどで完成です。焼きたては格別の美味しさです。
成功のポイントは、火加減を弱火に保つことです。キャンプの火は強くなりがちなので、焦げないよう注意が必要です。また、生地は混ぜすぎると膨らみが悪くなるため、さっくりと混ぜる程度にします。ホットケーキミックスは湿気を吸いやすいため、ジップロックなどに入れて密閉して持参しましょう。
キャンプ料理を成功させるコツ
美味しいキャンプ飯を作るための、共通するコツをまとめて紹介します。
事前準備が成功の鍵です。野菜は洗ってカットし、肉は下味をつけて、調味料は小分けにして持参します。現地での作業を減らすことで、調理がスムーズになり、時間も節約できます。ジップロックに入れて冷凍すれば、保冷剤代わりにもなります。調理手順をメモしておくと、現地で慌てずに済みます。
火加減の調整が重要です。キャンプの火は家庭のコンロと違い、火力の調整が難しいです。焚き火なら熾火を使う、バーナーなら弱火から始めるなど、焦げないよう注意しましょう。フライパンやスキレットは予熱をしっかり行い、均一に加熱されるようにします。蓋を活用することで、蒸し焼き効果が得られます。
道具の使い方をマスターすることも大切です。ダッチオーブン、スキレット、メスティンなど、それぞれの道具の特性を理解して使いこなしましょう。使用前のシーズニング、使用後の手入れも忘れずに。道具を大切に扱えば、長く使えて、愛着も湧きます。
味見を忘れずに行いましょう。キャンプでは計量が正確にできないこともあるため、味見をして調整します。塩加減は特に重要で、少なめから始めて徐々に足していきます。一度塩を入れすぎると取り返しがつかないため、慎重に。味見は料理の基本です。
時間に余裕を持つことも成功のコツです。キャンプでの調理は、思ったより時間がかかります。慣れない道具、不安定な火加減、予期せぬトラブルなど、様々な要因で遅れることがあります。食事の時間から逆算して、余裕を持って調理を始めましょう。焦ると失敗しやすくなります。
失敗を楽しむ心も大切です。キャンプ料理は完璧である必要はありません。少し焦げても、見た目が悪くても、それもキャンプの思い出の一部です。失敗から学び、次回に活かせば良いのです。「これも経験」と笑い飛ばす余裕を持ちましょう。
まとめ:キャンプ飯で思い出を作ろう
キャンプ料理は、単に空腹を満たすだけのものではありません。作る過程を楽しみ、出来上がった料理をみんなで囲み、語り合う時間すべてが、かけがえのない思い出となります。焚き火の火で調理した料理、仲間と一緒に作った料理、自然の中で食べる料理は、どれも特別な味がします。
この記事で紹介した10のレシピは、どれも実際にキャンプで作って美味しかったものばかりです。簡単なものから少し手の込んだものまで、様々なレベルのレシピを紹介しました。まずは簡単なものから挑戦して、徐々にレパートリーを増やしていきましょう。
キャンプ料理の魅力は、自由にアレンジできることです。紹介したレシピを基本にして、自分なりの工夫を加えてみてください。新しい食材を試したり、調味料を変えたり、創意工夫することで、オリジナルのキャンプ飯が生まれます。そうして生まれた「我が家の定番レシピ」は、家族の宝物になるでしょう。
道具や食材の準備、火加減の調整、時間管理など、最初は大変に感じるかもしれません。しかし、経験を重ねるごとに上達し、余裕を持って楽しめるようになります。失敗も含めて、すべてが学びであり、思い出です。
キャンプ飯を通じて、料理の楽しさ、食材のありがたさ、仲間との絆、自然の恵みなど、多くのことを感じ取ることができます。子どもたちにとっては、貴重な食育の機会にもなります。火を使う経験、調理する楽しさ、みんなで食べる喜び、これらはすべて生きる力につながります。
さあ、この記事を参考に、次のキャンプで美味しい料理にチャレンジしてみてください。焚き火の炎を眺めながら、仲間と笑い合いながら、美味しい料理を作る時間を楽しみましょう。あなたのキャンプが、美味しい思い出でいっぱいになりますように!
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